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2006.01.04

『箱根山』獅子文六、講談社大衆文学館

 ただの勘だけど、タイミングは正月しかないと思い、はじめて獅子文六を読んでみる。正月こそ箱根である。明らかに駅伝競争に影響されているのは分かっているけれど。
 作者の経歴をみると、彼はもともと劇作家、演出家であり、その後大衆小説で人気を博したのだという。そう言われてみれば、作品の背景となる舞台設定と、人物の設定が整理されていている。また導入部分、本編とは直接関係ない箱根開発をめぐる聴聞会の様子をコンパクトに見せていくところも「遅れ客」用の、つまり無ければ無いで構わない展開で掴んでおくところも、読ませる。
 舞台は、東急(小田急)、西武、藤田観光の大手三社の開発競争に翻弄される、ふたつの老舗旅館。話の枕として大まかな構図を描いておき、あとはその周辺で起きる恋物語にとっぷり取り組む感じ。この恋物語も、淡いことこの上ない。同系列だったふたつの旅館が反目しあう歴史を変えようとする二人の若い男女。男は優秀な混血児で、もう一人は令嬢。身分差の問題も抱えていて、二人は十年越しの愛を約束する。
 「いかにも一般大衆が喜びそうな」というキャッチコピーがあった。獅子文六は忘れられても、一般大衆的なものはまだまだ根強く残り、こうやって時を経て、たとえば私が乗せられている正月。
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