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2005.12.27

『幻の漂泊民・サンカ』沖浦和光、文春文庫

サンカとは、戦後すぐまで日本に存在したはずの、漂泊民のことを指している。当て字で「山家」あるいはひどいときには「山禍」などとも書かれた。
 簡単に言うと、サンカの記録がほとんどない。書誌がないから、いなかったことにしていいのかという一点にこだわり続けて、著者は膨大な研究ノートを開陳していく。ものすごく孤独な戦いだ。
 サンカの生活実態の考証を続けるうちに、論は独特な展開を辿る。つまり、旧賤民の系譜を遡り、サンカの系譜と交わる点があったかどうかを検討する作戦に出るわけだ。いわゆるエタ系、非人系、雑種賤民の歴史を丹念に検討し始める。沖浦和光は、被差別部落の研究者だそうで、その強みがぐんと出ている。
 しかし、サンカと旧賤民系との(血族的な)交流はないようだとした上で、サンカの発生は「近世の後期に相次いでやってきた社会的な危機の時代に、農山村民の一部が、定住生活に見切りをつけて漂泊生活に入った」との結論を得る。社会的危機というのは、ひとことでいえば数年に及ぶ大飢饉のこと。
 同時に、サンカを社会的な悪玉と見なした作家でジャーナリストの三角寛が著した作品の検討も行っていて、メディア史の側面から見ても、けっこう面白い。
 何代将軍がだれだれで、という歴史には今も昔も興味がないが、ひとつの社会の辺境、エッジきわきわのところに位置していた人々に思いを馳せること、そしてそれを歴史と呼ぶことがもっとあってもいいんじゃないか。
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