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2005.12.31

『編集狂時代』松田哲夫、新潮文庫

 異端の編集者といえば「噂の真相」の岡留安則や「写真時代」「パチンコ必勝ガイド」の末井昭が思い浮かぶ。それぞれの著作は過激で、特に末井の『素敵なダイナマイトスキャンダル』(角川文庫、ちくま文庫)は、感涙にむせいだものだ。あと恥ずかしながら、昔読んだ「話の特集」編集長の矢崎泰久の『情況のなかへ』(現代教養文庫)にも影響を受けたと思う。
 それに比べて松田哲夫の経歴は、著書を読む前から良く知っていた。なんだか陽のあたるところを歩んできたんだなという印象があった。著書を読んでその感をますます強くした。えらいのは松田じゃなくて、筑摩書房の寛容さじゃないか。
 それにしても70年代臭さというのは何なのか。ちょうど90年代の初頭、バブル期に想定していた希望のようなものは、70'sグラフィティみたいなものを背負った人がつくっていたわけであり、それに自分自身が気づくのはもうちょっとあと。青島幸男の『青島の意地悪議員日記』(新潮文庫)だとか、なぜあれほど必死に読んでいたのか。あの当時の自分に説教してやりたい。
 いまTBSのユルい情報番組で書評コーナーを持つ松田を見るたび、自分がナンシー関だったら、松田哲夫のヒゲ面を彫り横に「テツ」とキャプションを入れてやりたいところだ。揶揄するポイントはいっぱいあるけれど、トランスアートの「本とコンピュータ」や筑摩書房の「頓知」、いずれも実家にたくさんある。この「実家にはある感」「お世話になりました感」を私は自己批判し、乗り越えなければならない。
 つまらぬことはさておき、一点だけ気になっていること。詩の出版社・七月堂の木村栄治は私が尊敬する人ですが、彼はある随筆の中で、筑摩書房の倒産とその復活に向けたイベントが華々しく行われた裏で、何人の印刷会社が廃業に追い込まれたか、それを記憶している人間はいるのか、と独特の筆致で迫っていたことがある(初出をさがしたが不明。「彷書月刊」か?)。編集の仕事は虚業である。それを忘れるのは、恥ずかしい。
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