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2009.11.03

『日本の歴史をよみなおす(全)』網野善彦、ちくま学芸文庫

 大化の改新は存在しなかったかも知れない、といわれれば、何に騙されていたのだろう、釈然としないなあという感じが残る。あったか無かったかはっきりしてくれ、とすら思う。まったく同様に、中世の百姓はやっぱり、水戸黄門の前でははーっと言って、あおい輝彦あたりに肩をポンと叩いてもらわなくちゃ。
 極度の歴史音痴の私に対して、著者は一つ一つ物証を積み上げて迫ってくる。いったん反故にして襖の下張りになっていた文書を、そうっと剥がして読み解いた結果だ、と先生は胸を張ってる。曰く、日本の百姓は農業専業だったわけじゃない、日本は海に囲まれていたからこそ豊かな交易ができたのだ、抑圧された女性像は捏造であり男性並みの自己決定権も持っていた、被差別者は単なる賤視をされていたわけではなくその聖性もひろく社会に共有されていた…。総合すれば、中世の日本像はほとんど別の国になっていくだろう。
 網野の使命感は揺るがない。海や山を経めぐり農業以外で生計を立てて暮らす人たちの歴史は「切り落とされ破棄された世界であり、この世界をもう一度世に出さなくては、日本社会像が非常にゆがんだものになってしまうことは確実」だという。黒々とした大きなプロットをつないでできあがる、大文字の歴史の怪しさよ。
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