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2005.11.23

『私生活』神吉拓郎、文春文庫

 男と女の日常、出会い、別れを描いた掌編小説十七作。初出は「オール読物」。熟れた人間関係をひとつの水平線に、場面ごとに現れる人たちの過不足する日常、機微を――それも、男の側から――描いていく。いずれもどことなく女性をぞんざいに扱っていて、昭和な薫りがする。家父長制うんぬん、というのと問題の次元が異なるのをなんと説明したらいいのだろうか。
 解説を書いているのは、作家の中村武志である。彼は国鉄勤務のサラリーマンで、「目白三平」の作家で、愛妻家で、パリ好きで、鍋屋横丁であるわけだ。どうだい、もう、これだけで昭和だ。その彼と作風が近いと思われていたであろう神吉の代表作に解説を書いているのだ。(いま調べたら、神吉は昭和3年生まれ。中村は明治42年生まれで、中村の方が先輩格だった)
 中村は、神吉とほとんど会ったことがないとしたうえで、彼のエッセイから「お洒落」を引用し、神吉こそ「心の洒落者」ではないか、と書く。よく酒を飲む仲である、という書き出しではなく、ライバルとしての微妙な思いをそのままに、相手にエールを送っている。これもまた人生の機微である。機微ってなんだか知らないけれど。
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