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2005.12.01

『ゴットハルト鉄道』多和田葉子、講談社文芸文庫

 ごっと、ごっとと進む電車だから、ゴットハルト鉄道なのだそうだ。ことほど左様に、ドイツ語で書かれた紀行文が変貌を遂げ、身体性と抱き合い、しまいにはゴットハルト鉄道になっちゃった。
 ハルトは硬いという意味であり、つまり、だからゴットハルト鉄道なのだそうだ。かたいといっても固い・硬い・硬い、というのが世の中にはある(ような日本語の前提がある)けれど、ここで使われるハルトな感じは、日本語でいう「難い」に近いものだと思う。
 きわめて物理的な事象として、ひとりの作家が鉄道に乗りトンネルを通過していく。やわらかな人間が、かたい岩窟の中へ突入していく、そのトンネルの何とも官能的な感じ。一回では我慢ならず、何度も彼女は鉄道の終点で折り返す。往還すれば、それはもう立派な物語。
「いったい線路に何が落ちていると言うのだろう。龍の目が落ちているのか。ハイヒールのかかとが落ちているのか」戯曲にあるような、場を撹乱させつつ前に進むタイプのモノローグ、イメージの飛躍がいい。残念ながら、彼女の戯曲は読んだことがない。年譜によると彼女の卒論は、上演不可能なテキストとして名高い『ハムレット・マシーン』に関するものだったようだ。
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